売掛金を期日前に売却して資金化するファクタリング。
「銀行融資などが間に合わない場合や、銀行に融資を断られて時に使うもの」と考えている人が多いのではないでしょうか?
確かに、銀行融資の代用としてもファクタリングは活用することができます。
しかし、ファクタリングにはそれ以上のメリットがあり、場合によっては自社の外部からの評価が上がることもあります。
ファクタリングのメリットを詳しく解説します。
ファクタリングを上手に活用することによって資金繰りの改善に繋がるだけでなく、外部からの評価が向上したり、より効率的な経営ができる可能性もあります。
ファクタリングのメリットをしっかりと理解して、ファクタリングを活用した企業経営の向上に繋がるようにしましょう。
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メリット①自社に信用がなくても資金調達ができる
ファクタリングのメリットとして1つ目にあげることができるのは自社に信用がなくても資金調達ができるという点です。
銀行融資はもちろん、ノンバンクのビジネスローンでさえ、審査されるのは自社の業況です。
審査基準の違いはあるものの、融資では自社に信用がなければ資金調達をすることは不可能です。
しかし、ファクタリングは審査の基準が融資とは全く異なります。
自社に信用がなくても売掛先の信用次第で資金調達ができる可能性があるのです。
審査されるのは売掛先
ファクタリングで主に審査されるのは自社ではなく売掛先企業です。
自社とファクタリング会社の取引は売掛金の売買だけです。
売掛金の期日になったら売掛金を支払うのは自社ではなく売掛先であるため、ファクタリング会社にとっては自社の信用よりも売掛先企業の信用が重要になります。
そのため、売掛先企業に信用があれば資金調達できますし、売掛先企業に信用がなければ資金調達ができません。
ファクタリングは売掛先企業の審査が重要になります。
銀行融資を断られても資金調達の可能性がある
ファクタリングは銀行融資を断られても資金調達できる可能性があります。
ファクタリングでは自社の信用よりも売掛先の信用が重視されます。
銀行融資やノンバンクの融資では、自社の信用が重要です。
そのため、自社に信用がないとお金を借りることができませんが、ファクタリングでは自社に信用がなく融資を売れることができない企業でも、売掛先に信用さえあれば資金調達が可能です。
税金の滞納があっても資金調達の可能性がある
ファクタリングは税金の滞納があっても審査に通る可能性があります。
ファクタリング審査では税金の滞納があるかどうかは審査されないためです。
銀行融資では税金の滞納があると、まずお金を借りることはできません。
このため、税金の滞納前に融資申込をする必要があります。
ファクタリングは税金の滞納があっても資金調達できるので、滞納している税金の支払手段としてもファクタリングは活用することができます。
メリット②資金繰りが改善する
売掛金の期日前に資金化する行為がファクタリングですので、売掛金という期日にならなければ使い道のない資産を資金化することができるのは大きな魅力です。
ファクタリングは短期的に見れば企業の資金繰り改善に寄与するというのはやはりメリットと言えるでしょう。
売掛金は期日になるまでは活用できない
売掛金は将来的にお金を受け取ることができる権利というだけであって、期日になるまではほとんど活動することができない債権です。
同じく売掛債権である手形は裏書譲渡によって取引先への支払手段として活用することができますが、売掛金は期日になるまで活用方法がありません。
そのため、利益がある会社でも売掛金が多い会社は資金繰りが悪化しているケースがよくあります。
ファクタリングによって現金になり資金繰りは改善
ファクタリングとは活用方法がない売掛金という資産を活用できる有効な手段です。
ファクタリングは売掛金を期日前に売却する方法ですので、期日前であってもあらゆるところへ支払い可能な現金という資産に換えることができます。
短期的には企業の資金繰りは大きく改善することになり、資金ギャップを埋めるために銀行借入をする必要はなくなるでしょう。
ただし、ファクタリングの高額手数料負担によって収益が圧迫されるので、長期的には資金繰りが悪化する可能性があるという点には十分に注意する必要があります。
メリット③取引先に秘密で資金調達できる
ファクタリングは取引先に秘密で資金調達することができる点もメリットです。
ファクタリングは売掛金を売却することですので「取引先にバレてしまうのでは?」と心配する人も多いでしょう。
しかし2社間ファクタリングであれば取引先に秘密で資金調達することができるので、自社の信用を落とす心配もありません。
ただし2社間と3社間でこの点は大きく異なるので注意しましょう。
2社間ファクタリングは取引先への通知なし
2社間ファクタリングは取引先への通知が必要ありません。
2社間ファクタリングは売掛金代金が売掛先から自社へ振り込まれ、自社がファクタリング会社へ送金するため、取引先への同意が不要だからです。
ファクタリングをしていることが取引先へ知られてしまうと「資金繰りに困っているかもしれない」と自社がネガティブに判断されてしまい、取引に悪影響してしまう可能性があります。
2社間ファクタリングは取引先に知られずにファクタリングができるので、このような心配はありません。
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3社間ファクタリングは取引先の同意が必要なので要注意
ファクタリング全てが取引先に秘密にできるわけではありません。
3社間ファクタリングは取引先の同意が必要です。
3社間ファクタリングは売掛金期日になったら売掛先が直接ファクタリング会社へ売掛金代金を支払う取引です。
売掛先の同意なしではできないので、必ず売掛先にバレてしまうことになります。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングと比べて手数料は低いですが、売掛先に秘密にすることはできないので注意しましょう。
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メリット④銀行に秘密で資金調達できる
ファクタリングは銀行や投資家などにも秘密で資金調達することが可能です。
銀行や投資家は「ノンバンクなどからお金を借りている」と分かると、「この会社は資金繰りが相当苦しい」と判断して格付けを下げることもあります。
しかし貸借対照表に計上されることがない資金調達であるファクタリングは銀行などの外部の人にバレにくいのです。
外部の評価が下がりにくいという点もファクタリングのメリットです。
バランスシートには記録されない
ファクタリングをしたことはバランスシート(貸借対照表)には記録されません。
借入の場合にはバランスシートの「借入金の明細」によって、どこからいくら借りたのかを詳細に知られてしまいます。
しかし、ファクタリングは売掛金を現金に変えるだけですのでバランスシートには記録されません。
よほど詳細に決算書を分析しない限りはファクタリングをしたことを知られることはありません。
外部から資金調達したことが決算書から分かりにくいというのもファクタリングのメリットです。
ビジネスローンは銀行の評価が下がることも
借入を行うと明細がバランスシートに記録されるので、銀行などに「どこから借りているのか」ということを知られてしまいます。
この際にノンバンクのビジネスローンの借入があることを銀行や投資家に知られてしまうと企業の格付けが下がってしまうことがあります。
銀行はノンバンクから借入があることを知られてしまうと「資金繰りが苦しい」「経営状況が相当悪い」「どこかの銀行から融資を断られた」などと著しく評価が下がってしまうケースがよくあります。
ファクタリングではこのようなネガティブな評価をされることはありません。
ビジネスローンで資金調達をするよりもファクタリングの方が企業評価が下落しないというメリットがあります。
メリット⑤オフバランス化によって評価アップ?
ファクタリングは貸借対照表のオフバランス化にも寄与します。
オフバランス化とは不要な資産と負債を持たずに効率よく経営するということです。
借入ではないファクタリングは負債が増えないので借入金よりもオフバランス化になるのです。
また、オフバランス化に伴い自己資本比率やROAなどの経営指標も向上するという効果も期待できます。
ファクタリングは資産も負債も増えない
ファクタリングは売掛金の売却です。
このため、資産も負債も増えません。
100万円の売掛金を手数料10万円で90万円で売却する場合には以下のような仕訳になります。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 90万円
売上債権売却損 10万円 |
売掛金 100万円 |
現金も売掛金も資産です。
そのため、資産と資産を交換しているだけですので、資産も負債も増えまん。
一方、100万円を借りたのであれば仕訳は以下のようになります。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 100万円 | 借入金 100万円 |
借入の場合には借入金という負債が増えるので、この分だけ貸借対照表は大きくなってしまいます。
このように、借入よりもファクタリングの方が貸借対照表のオフバランス化に寄与することになるのです。
自己資本比率が借入よりも向上する
また、ファクタリングは借入よりも自己資本比率は向上します。
自己資本比率は、資産のうち何%が自己資本で形成されているのかということを示す指標で、高ければ高いほど「安全な企業」と評価されます。
自己資本比率は自己資本÷総資産で算出します。
例えば、総資産1,000万円、自己資本500万円の会社の自己資本比率は以下のようになります。
自己資本500万円÷総資産1,000万円×100=50%
ここに手数料10万円を支払って100万円の売掛金をファクタリングをした場合には以下のようになります。
自己資本490万円(500万円−手数料10万円)÷総資産990万円(総資産1,000万円−手数料分10万円)×100=49.5%
借入の場合を考えてみましょう。
100万円を借りた場合には総資産は100万円増えて1,100万円になり、自己資本比率は以下のようになります。
自己資本500万円÷総資産1,100万円×100=45.5%
このように、同じ金額を調達するのであれば、借入よりもファクタリングの方が自己資本比率は向上します。
ROAが借入よりも向上する
ファクタリングは借入よりもROAが向上するというメリットもあります。
総資産利益率は総資産からどれだけの利益を生み出すことができるのかという指標で、高ければ高いほど、会社の資産を活用して効率的な経営ができているということになります。
利益200万円、総資産1,000万円の会社のROAは以下のようになります。
200万円÷1,000万円×100=10%
10万円の手数料を払って100万円の売掛金をファクタリングした場合には、利益は190万円、総資産990万円になりROAは以下のようになります。
190万円÷990万円×100=19.2%
100万円を借りた場合を考えましょう。
利益は変わりませんが、総資産は1,100万円になり、ROAは以下のようになります。
ROA=200万円÷1,100万円×100=18.2%
このようにファクタリングの方がROAが向上するので効率のよい経営ができていると評価される可能性が高くなるのです。
メリット⑥与信管理をアウトソーシング
企業にとって取引先の与信管理は重要ですが、ファクタリングをすることによって審査のプロに与信管理をアウトソーシングすることが可能です。
また、新規取引先ともファクタリングを活用することによって安心に取引することができます。
ファクタリングを活用することによって企業が与信管理に割いていた経営資源の効率化を測ることができ、新規取引先も積極的に開拓することができるというメリットがあります。
初めて取引する会社はリスクが高い
企業にとって初めて取引する会社への評価をどうするかは深刻な問題です。
業況が悪くいために既存取引先から取引を切られた会社と取引してしまったら自社は損失を負う可能性が高いためです。
そのため、新規取引先に対しては審査をしっかりと行う必要がありますが、審査ノウハウがない企業が正確な審査ができているとは言えません。
また、審査にかかる時間やコストも軽いものでもありません。
同じく、既存取引先に関しても継続的に審査を行い、急に業況が悪化しないように企業は審査を管理を行う必要があります。
ファクタリング会社が取引先の審査をしてくれる
ファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社が「回収に問題ない業者かどうか」を審査してくれます。
自社で行なっていた審査の事務をアウトソーシングしていることになり、自社が取引先や新規取引先の審査を行うよりも正確な審査を行うことができるようになります。
初めて取引をする企業には活用できる
新規で取引を開始する企業とは、最初の売掛金だけはファクタリングをすることがおすすめです。
ファクタリング会社が「回収に問題ない」と判断すれば、2回目以降も取引を継続できる取引先ということです。
資金繰りに困っていないのであれば、2回目以降はファクタリングを利用する必要もありません。
このように、ファクタリングは審査をアウトソーシングする方法としても有効に活用することができます。
メリット⑦売掛金管理をアウトソーシング
ファクタリングで売掛金の管理もアウトソーシングすることも可能です。
ファクタリングは売掛金を売却することですので、ファクタリングをしてしまえば、売掛金を管理する必要はなくなるためです。
多くの企業が売掛金の管理コストに頭を悩ませているのではないでしょうか?
ファクタリングを利用することで売掛金管理コストから解放されることになり、より前向きな仕事に経営資源を傾けることができるようになります。
売掛金の管理は手間とコストがかかる
経理担当者は営業担当者であれば経験があるかと思いますが、売掛金の管理は非常に面倒です。
取引先ごとの台帳を作成し、入金額の確認と残高を管理して請求を出し、場合によっては督促や集金に行かなければなりません。
ファクタリングを利用すればこのような管理からは解放されることになります。
また2社間ファクタリングは償還請求権がないので、もしも売掛先が代金を支払わない場合でも自社には損失は何も生じません。
余った経営資源を収益事業へ
売掛金管理に使っていた人的資源や時間やコストはファクタリングによって節約することができます。
売掛金の管理に割いていた経営資源をより利益の出る分野へ回すことができるのでファクタリングによって企業がより前向きな方向へ転換を図ることができるのです。
ファクタリングのメリットに関する良くある質問
- ファクタリングをすることによって必ず銀行からの評価が向上しますか?
- 必ず評価が向上するというわけではありません。そもそもファクタリングを利用するということは赤字などの事情があるため、根本的な問題が解決しない限りは評価が向上しないこともあります。ただし、ROAが向上するなどのメリットがあることは間違いありません。
- 2社間ファクタリングは絶対に売掛先にファクタリングがバレませんか?
- 期日を守ってファクターへ支払う限りは絶対にバレることはありません。期日に遅れるとファクターが回収のために売掛先に連絡をすることがあるので期日を流すことがないように十分に注意してください。
- 自社に信用がなくても絶対にファクタリングの審査には通過できますか?
- 2社間ファクタリングは資金が納入企業を通過するので、あまりにも納入企業に信頼がないと審査に落ちることもあります。資金が納入企業を通過しない3社間ファクタリングは納入企業に信頼がなくても高い確率で審査に通過できます。
- ファクタリングのデメリットを教えてください。
- 手数料が高いこと、悪徳業者多いことなどをあげることができます。
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まとめ
ファクタリングのメリットは以下のようなものがあります。
- 自社に信用がなくても資金調達
- 資金繰りが改善する
- 取引先に秘密で資金調達できる
- 銀行に秘密で資金調達できる
- オフバランス化に寄与する
- 与信管理をアウトソーシングできる
- 売掛金管理をアウトソーシングできる
ファクタリングは手数料が高いので、収益を圧迫することは間違いありません。
しかし、上手に活用することで借入による資金調達よりもメリットを得られることも間違いありません。
借入とファクタリングのメリットをそれぞれ理解し、企業経営にとって最良の資金調達を行うことができるようになりましょう。
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